1.ひとかげ よしもとばなな

また性懲りも無く読書日記を始めようとしている。楽器をやめてしまっている現在、本が私の差し出す右手となり、人とコミュニケーションをする架け橋となるのだろう。

私が本を読む時に感じる泉がこんこんと湧き出るような静かで深い喜び。その正体を知りたい。何が自分をそこまで突き動かすのかが知りたい。そのために自分の思考を可視化しておきたい。

 

1冊目はよしもとばななのひとかげにした。同じ作者が書いたとかげという本をリメイクしたものだ。

 

あらすじ

自閉症児専門のカウンセラーを勤める主人公は、とかげの刺青をもつ女と奇妙な恋愛をしている。主人公が結婚を申し出た時、女は「秘密があるの」と告げる。二人の過去がわかった時、どうしてお互いそれほどまでに惹きつけられていたのかその理由を悟る。癒しと再生の物語。

 

こんな話である。

この言葉が一番好きである。

「本当はただたださわりたくて、キスしたくて、抱きたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて一方的にでもなんでも、涙がでるほどしたくて、今すぐ、その人じゃなければ嫌だ。それが恋だった。思い出した。」

最後にお互いの辛い幼少期の話がわかって、子どもは選べないけど大人になったら自分の力で前に進んでいけるって知った。小学校くらいにこの本を読んだ時それが救いだと思った。

ひとかげはとかげをリメイクしたものだけど言いたいことを詰め込みすぎてやや冗長気味になっちゃったのが残念である。やっぱとかげの方が言いたいこと全部伝わってなかったとしても、テンポ感がよく読みやすいと思う。