18.不忍池で考えた

昨日は大学の友達と飲み会をした。

上野は久しぶりだったので早く行って科学博物館を見ようと思った。大体予想はできていたが朝全く起きることができず、結局着いた時には科学博物館に行けるほどの時間は残ってなかった。

そこで不忍池に行って本を読みながらぼーっとしようと思った。

3月なので蓮の花が咲いていないどころか葉っぱも茶色だった。それでも花托という黒い穴の空いたものがまだ残っていて、また暖かくなってきたら花を咲かせるのだろうと思わせた。

広い池に茶色の葉っぱが浮いていて黒い花托が伸びている様はなぜかこの世とあの世の狭間にいる錯覚を起こさせた。この池を渡ったら別の世界になるような。

 

そこで読んでいた本は柚木麻子の「ナイルパーチの女子会」だった。

最近職場の人でどうしても疲れてしまう人がいる。嫌いではないのだが、気性が激しいのと、押し付けが強いのに辟易している。

どうしてあの子に執着するのか。どうしてあの子が別の人(例えば私など)と仲良くしようとすると怒るのか。どうして自分が一番正しくてそれと人が違う時に相手を攻撃しだすのか。どうして一人ではいられないのか。どうして自分は彼氏や家族がいながらあの子の行動を全て制限しようとするのか。

 

もちろん私は当事者ではない。向こうからしたら私はただのその子達の仲を阻む相手でしかなく、忌むべきものなのだろう。

ちゃんとそれはわかっていて、でも何か心につっかえが残っている感じがする。おそらく私が昔誰かにされたことしてしまったことを思い出すからだろう。それが嫌なのだ。

 

ナイルパーチの女子会には様々な女性が出てくる。頭も良く美人で一流商社に勤めるキャリアーウーマンでありながら、友達が誰もできず、自分の思い通りにならないとストーカー化してしまう栄利子。気まま、マイペースが売りの人気ブロガーでありながら、本当はさっぱりした性格ではなくずるさと弱さと怠惰さを兼ね備えてる翔子。貧乏な家庭に育った派遣社員で、女友達が何よりも大切男に全く期待してないといいながら、高給取りの旦那と結婚し暴力を振るい続ける真織。栄利子に徹底的に傷つけられてから全てに対するやる気を失いただ漂うように生きてる圭子。

たくさんの女の嫌なところが凝縮されている。そして自分にも少なからずそれらの様子があることを思い知らされる。

 

これを読みながら「私は何を大切にしていきたいのかどうしたいのか」を考えた。その時自分はこう思った。

数は多くなくとも今自分の周りにいる人をできるだけ大切にしていきたい。もしその人達と何かの関係で疎遠になってしまっても、それを恐れたり、自分を卑下しないで、また新たに仲良くなった人を大切にしていけるようになりたい。そして少しでも多くのことをできるようになったり学んでいったりしたい

 

自分は環境が変わった時に前仲良かった人と疎遠になるのが怖かった気がする。そのくせ高校は中学の人がほとんど行かないところにしたし、大学は北海道だし、今なんて関西にいる。でも今は弟もいるし、彼氏もいるし、友達もいるし、少しずつ会社のコミュニティにも参加し始めてる。着実に関西に自分が根を下ろしつつある。そしてそれは昔の友達だって同じだと思う。きっとみんな幸せで毎日充実しているんだろう。

だから環境が変わって疎遠になってしまうことを落ち込みすぎなくていい。今繋がってる人を大切にしていけばいい。そんなことを思った。

 

もう若くなくてだんだん自分の可能性が狭まっている感じがするけど、選択肢が少なくなった分自分の迷いが減った気がする。そして図々しくなったのかまあなんとかなるかと思ってる笑

 

昨日友達に「今をちゃんと一生懸命生きてるか?」って聞かれて「ちゃんと生きてると思うよ」ってはっきり言えただけでも昔の自分より成長したと思う。

 

終わり